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プロフィール
岩崎綾之
つくば市茎崎在住の社会人。普段の仕事は地元での工場勤務。請負社員やってます。副業としてノベルゲームの原稿書きのアルバイトもやっているけれど、小説形式のRPGというマイナーなジャンルなので知名度はイマイチ。仕事休みの日は映画を観に行ったりカラオケに行ったりすることが多かったけれど、2007年秋から地元の在日難民支援NPOの活動に関わるようになり、今ではそっちの会報の原稿を書いたりすることもあり。2008年10月よりどういうわけか劇団バリリー座に参加し、人手不足から役者を務める羽目に。それがこのブログを立ち上げたそもそものきっかけ。

2014年09月14日

死ねない羊娘たち

俺はすっかり人生に嫌気がさして、現実逃避するために星のホテルに泊まり続けていた。

ある日、散歩から帰ってくると、俺の泊り部屋に勝手に居座っている連中がいた。

メェメェ泣いてる羊娘が二人、彼女たちは不幸なレズビアンのカップルだった。

自分たちの存在を社会に受け入れられず、すっかり傷つき疲れ果てた二人の可愛い羊娘は

メェメェと泣いてはスーハースーハーと過呼吸を繰り返して心中しようとするのだが、

何十回・何百回と過呼吸を繰り返したところで死ねやしない。

それでも死ぬことばかり考えて、メェメェ泣きながらスーハースーハーと過呼吸を繰り返す。

永遠に繰り返されるかと思われる悲しく虚しい行為の間中ずっと、二人の羊娘たちはお互いのことばかり見つめたままで、

部屋の隅でじっと見ている俺にはまるで気づこうともしない

その有様をただじっと見つめている俺は、だんだんむなしく物悲しくなってきた。

日が暮れて暗くなると、羊娘たちは部屋のベッドの中に勝手にもぐりこんで、二人で抱き合ったままメェメェ泣いては、

相も変わらずスーハースーハースーハースーハーと繰り返してばかり。

俺が寝るはずだったベッドはもう完全に、死にたくても死ねない羊娘のカップルの、たった二人だけの小宇宙。

自分の居場所を奪われてしまった俺はすっかり泣けてきてしまい、

もうどうしようもなく悲しい気持ちで星のホテルから出て行った。



 ────以上はおととい、東京・池袋にある東京芸術劇場内のシアターウェストで観劇した寺山修司の芝居、青蛾館公演『星の王子さま』を観た後で、心中にモクモクと湧き出してきた妄想。

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Posted by 岩崎綾之 at 17:48│Comments(0)演劇
 
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