2014年09月14日
死ねない羊娘たち
俺はすっかり人生に嫌気がさして、現実逃避するために星のホテルに泊まり続けていた。
ある日、散歩から帰ってくると、俺の泊り部屋に勝手に居座っている連中がいた。
メェメェ泣いてる羊娘が二人、彼女たちは不幸なレズビアンのカップルだった。
自分たちの存在を社会に受け入れられず、すっかり傷つき疲れ果てた二人の可愛い羊娘は
メェメェと泣いてはスーハースーハーと過呼吸を繰り返して心中しようとするのだが、
何十回・何百回と過呼吸を繰り返したところで死ねやしない。
それでも死ぬことばかり考えて、メェメェ泣きながらスーハースーハーと過呼吸を繰り返す。
永遠に繰り返されるかと思われる悲しく虚しい行為の間中ずっと、二人の羊娘たちはお互いのことばかり見つめたままで、
部屋の隅でじっと見ている俺にはまるで気づこうともしない
その有様をただじっと見つめている俺は、だんだんむなしく物悲しくなってきた。
日が暮れて暗くなると、羊娘たちは部屋のベッドの中に勝手にもぐりこんで、二人で抱き合ったままメェメェ泣いては、
相も変わらずスーハースーハースーハースーハーと繰り返してばかり。
俺が寝るはずだったベッドはもう完全に、死にたくても死ねない羊娘のカップルの、たった二人だけの小宇宙。
自分の居場所を奪われてしまった俺はすっかり泣けてきてしまい、
もうどうしようもなく悲しい気持ちで星のホテルから出て行った。
────以上はおととい、東京・池袋にある東京芸術劇場内のシアターウェストで観劇した寺山修司の芝居、青蛾館公演『星の王子さま』を観た後で、心中にモクモクと湧き出してきた妄想。
ある日、散歩から帰ってくると、俺の泊り部屋に勝手に居座っている連中がいた。
メェメェ泣いてる羊娘が二人、彼女たちは不幸なレズビアンのカップルだった。
自分たちの存在を社会に受け入れられず、すっかり傷つき疲れ果てた二人の可愛い羊娘は
メェメェと泣いてはスーハースーハーと過呼吸を繰り返して心中しようとするのだが、
何十回・何百回と過呼吸を繰り返したところで死ねやしない。
それでも死ぬことばかり考えて、メェメェ泣きながらスーハースーハーと過呼吸を繰り返す。
永遠に繰り返されるかと思われる悲しく虚しい行為の間中ずっと、二人の羊娘たちはお互いのことばかり見つめたままで、
部屋の隅でじっと見ている俺にはまるで気づこうともしない
その有様をただじっと見つめている俺は、だんだんむなしく物悲しくなってきた。
日が暮れて暗くなると、羊娘たちは部屋のベッドの中に勝手にもぐりこんで、二人で抱き合ったままメェメェ泣いては、
相も変わらずスーハースーハースーハースーハーと繰り返してばかり。
俺が寝るはずだったベッドはもう完全に、死にたくても死ねない羊娘のカップルの、たった二人だけの小宇宙。
自分の居場所を奪われてしまった俺はすっかり泣けてきてしまい、
もうどうしようもなく悲しい気持ちで星のホテルから出て行った。
────以上はおととい、東京・池袋にある東京芸術劇場内のシアターウェストで観劇した寺山修司の芝居、青蛾館公演『星の王子さま』を観た後で、心中にモクモクと湧き出してきた妄想。