2009年11月15日
観劇:劇団新和座第3回公演『エレクトラ』の続き
以前の日記にも書いたけど、しつこくその続きだ。前回、ダブルキャストのことを書けなかったので、そのことについて書いておく。
10月31日、『エレクトラ』の公演で面白いと思ったのは、午後2時からの回と午後7時からの回で、ヒーロー・ヒロイン・敵役を別々の役者が演じていることだ。
エレクトラ(ヒロイン) ならりえ/今松くるみ
オレステス(ヒーロー) 北村空/古川康史
アイギストス(悪役) 古川康史/北村空
と、こうなる。先にも書いたがエレクトラ@ならりえは動、エレクトラ@今松くるみは静。私の感想としてはエレクトラ@今松くるみバージョンの方が高い完成度に見えたわけだが、だからってエレクトラ@ならりえがエレクトラ@今松くるみのように演じればいいというわけではない。
たとえば体格。舞台を観ればお判りのようにエレクトラ@ならりえは長身で、恐らく女性陣の中では最も背丈があるのではなかろうか。対するエレクトラ@今松くるみは標準的な背丈、どちらかといえば小柄な感じもする。この体格というものは本人の努力で変えたりすることはまず不可能だが、舞台効果のことを考えれば重要な要素だ。体格が違うだけで、立っているだけで威風堂々とした頼りがいのある人物に見えたり、逆に思わず寄り添ってあげたくなるいじらしい人物に見えたりする。その点を考えればエレクトラ@今松くるみが”静”の演出だったのは正解。逆にエレクトラ@ならりえだが、『王女メディア』や『ひばり』ではあの堂堂とした存在感が舞台の上で映えていたのに、今回は色々とちぐはぐな点が目立ったのが残念だった。いかにしてあの堂々とした存在感を舞台の上で生かしきるか、今後の上演に期待しよう。
面白いのはヒーロー・オレステスと悪役・アイギストスの役者が先の回と後の回とで入れ替わっていることで、どちらの演技も満足すべき水準に達して見える。演じる役者も体格においては対照的で、オレステス&アイギストス@古川康史は大柄、対するオレステス&アイギストス@北村空は小柄だ。が、どちらもヒーローをやる時はかっこよく演じている。観ていて気持ちがいい。
あえて欲を言うならば、悪役を演じる時の凄みが欲しい。とはいえ、いつでも平気で人を殺せそうな、殺気や狂気を放つ人物を演じるのは難しいものだと思う。アイギストス@古川康史は体格が堂々としているだけに、それだけで威圧感を放てるのが強みだ。小柄なアイギストス@北村空だと、目の下に隈を入れた悪人面のメイクをしたりと工夫はしているものの、体格の点では迫力負けするのが難しいところだ。しかし小柄な体格の役者に凄みのある悪役は無理かというとそうでもなく。たとえば映画『ダークナイト』で故ヒース・レジャーが演じた悪役ジョーカー、あの小柄なキャラがスクリーンから振りまく狂気は凄まじかった。ただ立っているだけで鬼気迫る戦慄を覚えるほどだ。とはいえ人間の暗黒面を体現するようなキャラは、演じる側にとってもリスクを伴うという話は色々と聞いているし、ダークサイドの演技にのめりこみすぎて実生活が破綻しても困るわけだが。これは今後の課題ということで、人生をダメにしない程度にがんばってくださいとエールを送ろう。
10月31日、『エレクトラ』の公演で面白いと思ったのは、午後2時からの回と午後7時からの回で、ヒーロー・ヒロイン・敵役を別々の役者が演じていることだ。
エレクトラ(ヒロイン) ならりえ/今松くるみ
オレステス(ヒーロー) 北村空/古川康史
アイギストス(悪役) 古川康史/北村空
と、こうなる。先にも書いたがエレクトラ@ならりえは動、エレクトラ@今松くるみは静。私の感想としてはエレクトラ@今松くるみバージョンの方が高い完成度に見えたわけだが、だからってエレクトラ@ならりえがエレクトラ@今松くるみのように演じればいいというわけではない。
たとえば体格。舞台を観ればお判りのようにエレクトラ@ならりえは長身で、恐らく女性陣の中では最も背丈があるのではなかろうか。対するエレクトラ@今松くるみは標準的な背丈、どちらかといえば小柄な感じもする。この体格というものは本人の努力で変えたりすることはまず不可能だが、舞台効果のことを考えれば重要な要素だ。体格が違うだけで、立っているだけで威風堂々とした頼りがいのある人物に見えたり、逆に思わず寄り添ってあげたくなるいじらしい人物に見えたりする。その点を考えればエレクトラ@今松くるみが”静”の演出だったのは正解。逆にエレクトラ@ならりえだが、『王女メディア』や『ひばり』ではあの堂堂とした存在感が舞台の上で映えていたのに、今回は色々とちぐはぐな点が目立ったのが残念だった。いかにしてあの堂々とした存在感を舞台の上で生かしきるか、今後の上演に期待しよう。
面白いのはヒーロー・オレステスと悪役・アイギストスの役者が先の回と後の回とで入れ替わっていることで、どちらの演技も満足すべき水準に達して見える。演じる役者も体格においては対照的で、オレステス&アイギストス@古川康史は大柄、対するオレステス&アイギストス@北村空は小柄だ。が、どちらもヒーローをやる時はかっこよく演じている。観ていて気持ちがいい。
あえて欲を言うならば、悪役を演じる時の凄みが欲しい。とはいえ、いつでも平気で人を殺せそうな、殺気や狂気を放つ人物を演じるのは難しいものだと思う。アイギストス@古川康史は体格が堂々としているだけに、それだけで威圧感を放てるのが強みだ。小柄なアイギストス@北村空だと、目の下に隈を入れた悪人面のメイクをしたりと工夫はしているものの、体格の点では迫力負けするのが難しいところだ。しかし小柄な体格の役者に凄みのある悪役は無理かというとそうでもなく。たとえば映画『ダークナイト』で故ヒース・レジャーが演じた悪役ジョーカー、あの小柄なキャラがスクリーンから振りまく狂気は凄まじかった。ただ立っているだけで鬼気迫る戦慄を覚えるほどだ。とはいえ人間の暗黒面を体現するようなキャラは、演じる側にとってもリスクを伴うという話は色々と聞いているし、ダークサイドの演技にのめりこみすぎて実生活が破綻しても困るわけだが。これは今後の課題ということで、人生をダメにしない程度にがんばってくださいとエールを送ろう。
2009年11月15日
百景社の『赤ずきん』観てきました
前から気になっていて、いつか観よう観ようと思いながらなかなか観にいけなかった、地元つくば市の劇団・百景社。その劇を11月3日、初めて観ることができた。演目は『赤ずきん』、上演場所は筑波山の麓、神郡の田井ミュージアム。自宅から自転車に乗っていくと、結構遠いけれど、それでも2時間ちょっとで着いた。ここは以前にも、ちょっとしたイベントがあって訪れたことがあるし。
道の途中で目にした筑波山がすごく壮大に見えて感動した。思わずデジカメで写真撮影。ちょっと風があって、次々と飛んでくるちぎれ雲が山肌に影を落としていくシーン、普段はなかなか見られない。
さて『赤ずきん』の内容だが、パンフレットに『原作:ペロー童話/グリム童話』と書いてあるから、これはもしや赤ずきんが狼に食われるペロー・バージョンを忠実に舞台化したのかと期待して行ったら、いやぁ見事に期待に応えてくれましたよ百景社。シナリオも原作を色々と脚色していて、のっけからベッドで寝ているはずのお婆さんが、椅子に座って居眠りしていたり。で、赤ずきんがどうなるかというと‥‥ネタバレになるから詳しくは書かないけど、いちおうはハッピーエンドだ。とにかくシュールでブラックで笑える赤ずきん。『狼の足』さんの演技に拍手。上演時間はたったの45分かそこらだったけど、役者の演技とか計算され尽くされていて、ここまで見せてくれて1000円のチケット代はとってもお徳。百景社、病み付きになりそうだ~。